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ぼくが98歳になる頃。


なんつたってタフな98歳でしてな。


そら大腿骨骨折して背骨に圧迫骨折があるてんだから、

さらに嚥下(ごくんと飲み込むこと)に失敗して、

軽い肺炎まで起こして熱まで出ちまったんだから、

苦しい・つらいてのはありましょうが、

でも、それでも


「くすり、やだ! 飲まない!」


てベッドでじたばたするって、

母よ、あなたはどこまでつおいんだ。


昼ご飯の介助に間に合うように行ったら、

リハビリもかねて、車椅子のままラウンジで。


トレイを見ても、何も食べていない。



作戦その1、開始。



きょうはラウンジで昼食。.jpg
アイスは、好き〜♡


がっつ。



部屋へ戻って、


そしてチョコ。.jpg
チョコ。



あら、なにこれ。



いちごチョコを開ける、母.jpg
いちごチョコを目ざとく見つけ開ける、母。


ちなみに母は、都合が悪いと


「目が悪いから、なにも見えない、読めない」


という。


でも、


「あ、もう4時半ね」


と、看護室の時計を見て、そういう。



耳も、悪くなったり、よく聞こえたり。

したたかな、98歳。




もう、病院がいやでいやでしょうがない母。



背骨が痛いよぃ、痛いよぅ、というそばから、


ブレーキレバーに手をかけ、部屋からの脱出を試みる、母。.jpg
自分で車椅子のブレーキを外して、エスケープを計画するの、図。


実際、ぼくが忍術木の葉隠れをして観察していたら、

ベッドサイドから廊下まで、自分で車椅子を走らせた。




自分がやりたいことは、なにがなんでもやりたくて、

やってほしくないことには、徹底抗戦。



看護師さんが来てあっというまに、

有無を言わせず母をリハビリセンターへ連れて行った。


「間髪を入れず」


とはこういうことを言うのかと、

見とれる、ぼく。



母がリハビリの間、ぼくは吉祥寺に母の夕ご飯のおかずを仕入れに。



いろいろ物色し、これならというものを携えて病室へ。


夕食のトレイが運ばれてきたが、

見るなり、


「ぜんぶ、いらない!」




そんなの最初からわかっとるわい。


母の耳元で、


「母ちゃん、北海道の新鮮な生タラコがあったからそれ買ってきた、食べる?」


目が輝くのを見逃さないぼく、だ。


「じゃ、さ、それとお粥でさ、どう?」


「お粥? いらないよ、そんなもん」


が〜ん。

じゃ、ど〜やって食べるんだ?



病院のものは全部、いや。タラコだけ食べる。.jpg
おかゆも、やだからね.jpg
タラコだけ食す、母。


半腹、食べちゃった。


がっつ、といいたいところだけど、気持ちは複雑だ。


口の中が塩辛いだろうと、


「なんか、飲む?」


「いらない!」



といって手を出したのは、


チョコ.jpg
チョコ。


ま、98歳。


本人が食べると言うんだから。


結局9個、食べました、タイ記録。




今日もいろいろ作戦を練っていたんだが、手強かった。


帰宅して、明日の作戦を練る。



翌日。


やはり昼ご飯の介助に行ったが間に合わず、

きょうもラウンジで食事、

しかも母の両側にも車椅子の患者さんがいてぼくの座る場所がない。

なので今日は看護師さんに任せて、

ぼくは病室チェック。


昨日9個食べたチョコの箱、なんか真ん中のところが膨らんでいる。

なんだろうと思ってみてみると、

中には食べたあとの包み紙がぎっしり詰まっていた。

数えてみたら11枚。

食べかけのチョコが2かけら。

つまり、12個食べたということになる。

新記録! 888888888!!

・・・・・・・・・、

喜んでいいのだろうか。




母が病室へ戻ってほどなくして、母は今日もリハビリに。


なのでその間に、ぼくはまた吉祥寺に夕ご飯のおかずのようなものを探しに。

でもなぁ、いくらうろついても、もうほとんど手がないんだよ。

スープすら飲まないし。



ほとばしれ、ぼくの記憶力。


・・・無理だ、加齢中につき。



それでもなんとか彼女の好物をいくつか入手し、病室へ戻る。



きょうはちょいと早めの作戦に出てみよう。

サブリミナル効果。


耳元でぼそぼそ、


「母ちゃん、おいしそうな穴子の寿司があったよ」


母の目、キラン。


ちいさな、がっつ。



時間をおいてふたたびサブリミナル、


「穴子の寿司、おいしそうだったから、買っておいたから、あとで一緒に、ね」


「そうね、いいわね」


よしよし。




やがて夕食タイム。


トレイが運ばれてきたが、見ただけで、


「いらない! そんなもの食べないから」


はいはい。



「じゃ、さっき話した穴子の寿司、どう?」


「そうね、でも食べられるかなぁ」


「一口食べてみて、いやだったらやめればいいじゃない」


「うん」



穴子.jpg
穴子寿司。



母は醤油が大好き。

寿司ネタにつめがかかっていても、醤油をつけて食べる。

そんなことだって、おれ、ちゃんと知ってるからね。

醤油だって用意してあんだかんね。




小皿に醤油をたらして、寿司をちょんとつけて、

母、どうぞ、あーん。



「いらない!」


「え"?」


「食べたくない」


お姫様の気持ちの変わりようったら。


頑として、食べない。


仕方ないが、ここで気落ちしていられるかてんだ。

次の一手。



ねぎとろ.jpg
小振りの、ネギトロ。


「小振りの細巻き」てところが、みそだ。


ちょいとつまんでみようか、てな雰囲気があるじゃねぃか、なぁ。




お、自分から手を出し、うんうん、

醤油にちょいとつけて、いいねいいね、

ぱく!

ちいさな、がっつ。



「もう、いらない」


が〜ん。

ネズミがかじったくらいじゃないか。



なら、これはどうだ。


半熟ゆで卵.jpg
半熟卵。


キラリ〜ン、食べてみる、という。


おし、と、

半分に割ってスプーンで黄身を掬い口に運んだところで、


「いらないよ」


が〜ん、またフェイントかよ。



そうくるか、

そうくるなら、

もう、今日はこれしか残っていない、土俵際だ。



プリン.jpg
プリン。



プリンなら、よし.jpg
プリンなら、よし。



ふぅ。


結局、プリンは6割方食べてくれた(成城イシイのは大きい)。



手強いったらありゃしない。


きょうはぼくも全力で戦ったので、

あとは看護師さんにお任せして、帰宅。



帰りがけに、夕飯の買い出し。.jpg
帰路見つけたOGビーフ。


最近、なかなかOGビーフが見つからない。


そのかわり、アメリカの牛肉を見かけるようになった。


以前、別のスーパーの肉売り場の店員さんに聞いた。

おいしいOGビーフのランプ肉を売っていたところだ。


「OGのランプ肉は、自分も味好きですし、安いですし、

お客さまにもすごく人気があったんですけど、なぜか中止になっちゃったんですよね。

なんでなんだろう。そのかわりアメリカ産が入ってきてますけどね、

味も違うんですよね」


これもTPPがらみの前哨戦なのだろうか。



帰宅したぼくの疲労困憊度を察し、

子リスたちが晩ご飯を受け持ってくれた。



肉食獣が、牛肉を挽き肉中.jpg
肉食獣が、牛肉を挽き肉中。


パティを作る、クマ.jpg
パティを作る、クマ。


生の方が好きなのにぃ.jpg
生の方がすきなのにぃ。


仕方なく焼く、クマ.jpg
仕方なく焼く、クマ。



超粗挽きハンバーグステーキ250g.jpg
超粗挽きハンバーグステーキ250g、完成!



挽き肉は、手挽きに限る。


ほんとうに、うまい。


ごちそうさまでした。




さぁて、明日はどういう作戦に出るかな。


って、これ書いてる今日は4月3日だけど。



え?



こないだ新年迎えたと思ったら、もう4月かい!



この調子だと、あっという間に夏になっちゃって、

夏になるってことはだな、

あっという間に参院選になっちゃうよ。




今度の選挙は、ほんとうに、ほんとうに、大事な選挙だから、

今からいろいろ勉強しておこう。



とくにTPP。



国民健康保険制度はなくなり、民間保険会社が台頭することになるだろう。


そうなったら、母のような手厚い看護は受けられないし、

受けさせようと思ったら、ぼくは破産するんじゃないだろうか。



もし自民党が大勝でもしたら、

TPPはもちろん参加することになるだろうし、

原発は推進することになるだろうし、

改憲が行われ自衛隊は軍隊になるだろうし、

徴兵制が始まるだろうし、

農業は壊滅的な打撃を受けることになるだろうし、

水の権利さえも大手企業が握ることになるだろうし。





だれが幸せになれるのか。


この国は、どこに向かっているのか。




ぼくがもし母の歳まで生き、そして大病でも患ったとしたら、

子どもたちは、どうするだろう?

親を捨てるか、自分が破産するかの選択を強いられる人生って、いったい。



ぼくは、いい。

ほんとに。

ぼくはここまで生きてこられたから、十分。

あとは付録。

楽しい、うれしい、幸せな人生だったよ。




でも、次の世代は、人生これからじゃないか。


これから人生を謳歌する人たちじゃないか。


燃えるような恋愛だってしたいだろう、


これぞという仕事に打ち込みたいだろう、


幸せになってほしいんだ、


光ってほしいんだ、若い人たちに。



だからみんな、選挙、行こう!




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