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黒と、白。


柴田一佐衛門氏を訪れた。


2週間ほど前に、彼の個展

柴田 一佐衛門 茶碗展 ー白を播く・黒を播くー

に武蔵美時代の同級生たちと伺い、その作品群に圧倒された。


その日はそのあと、飲み会があった。

十ん年ぶりに柴田くんに会い、語り合い、
(はじめに「氏」と書いたが、同級生なので「くん」と呼ばせてもらおう)

近々に彼のアトリエを訪れる約束をした。



彼は秋に向けての作陶に入るのでなるべく春のうちに会いたいという。

お互いスケジュール調整をし、

そして、柴田くんに会いに行く日が来た。


GO!

彼の作品たちが迎えてくれているよう。.jpg
つい先日新宿のギャラリーで見た作品たちが、ここにあった。

彼の作品たちが迎えてくれているような、暖かい空間。


再会を喜び合い、いろいろと話す中で、

彼は今、工場跡地にソーホーのような芸術地区をつくる活動を展開中ということを知る。



工場跡地に、釜が3台。.jpg
ここは元々は柴田くんの家で操業されていた工場跡。


釜たち。.jpg
現在は窯が3台設置されている。


工場の反対側には、


工場跡に、アトリエを9室。.jpg
柴田くん手製のアトリエが9室。


ここを廉価な費用で若者たちに貸し出し、

柴田くん自らが身をもって作陶する姿を見せ、

場合によっては教え、会話することによって、

若者たちは多くを学びやがて明日の陶芸家となり、

多治見を活性化させようという彼の試みはたいへん素晴らしい。


彼の行動力に感動。

どんどんやってもらいたいと願う。

手伝えることがあるなら手伝いたいと思う。




それでは、と、

彼自らが作ったという茶室を案内してくれる。



手作りの茶室.jpg
手作りの茶室2.jpg


なんて素晴らしい。



じつはぼくは、今までお茶の世界とは無縁で生きてきた。

それはぼくの性格からきているのだけど、

「型にはまる」

ということがとにかく窮屈で。


だから逃げ回っていたというのが正直なところなのだが、

でも今回はちょっと、首根っこをつかまれてしまった感があるなぁ。



彼は以前は10年ほどニューヨークでジュエリーデザイナーをしていた。

彼の作品が "VOGUE" の表紙を飾るほどの成功を収めたが、

帰国し、作陶の世界へ。


その頃、ぼくは「手打蕎麦出張業」をやっており、

非常に忙しい日々を送っていた。


ある時彼から電話があり、ぼくの蕎麦を食べたいという。

お互い違う世界でそれなりにうまくいっていて、

でも考えてみたら卒業以来会っていないじゃないか。


よしわかったということで、

ぼくは仕事ではなく友人として彼を自宅に招き蕎麦を打った。


その時彼は「瀬戸黒」の世界にいて、

ぼくにその話をかなりしていた(らしい)。


ぼくはぼくで、蕎麦猪口のことしか頭になく、

黒だともり汁の色がわからないから、器は白がいいと答えた(らしい)。


その時のことを柴田くんはしっかりと覚えていて、

それを話してくれた。

あの時、加藤とは話が合わないなと思った、と。



今日、それの意味がわかった。


瀬戸黒は静かに、鮮烈に茶の色を表現する。



麩饅頭.jpg
麩饅頭をいただいて、


お茶をいただく.jpg
お茶をいただいた。


なんという緑。


飲み物という感覚がぼくの中から消えていた。


こころがしん、と、なり、

そうしたら柴田くんの器が無性に触りたくなり、

事実、いつまでも触っていた。


あくまでも器は器なのだけど、

この感覚、この存在感はなんなのだ。

そして、黒が美しい。



これを味わえただけでも、

こういう世界があるということを知ることができただけでも、

生きててよかった。



しかしその柴田くん、

なんと現在は「白」も探求中なのだという。



茶碗三種.jpg
茶碗三種


柴田くんの「白」、

これからの動き、楽しみだ。



ぼくは今回柴田くんから大いに刺激を受けた。


なにかが芽生えるのか。


多治見、来てよかった。



一佐衛門.jpg



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